「風邪に抗菌薬は効かない」という話は聞いたことがあるでしょうか?感染症を起こす病原菌としては細菌、ウイルス、真菌などがありますが、風邪のほとんどはウイルスが引き起こします。そしてそのウイルスに対して抗菌薬は一切効果がありません。ウイルス感染症の治療は、インフルエンザ、水ぼうそうなどの特殊なウイルスを除いて効果のある薬はありません。自身の免疫力で自然と治っていくものです。一方、細菌感染症の多くは抗菌薬による治療が必要になります。それを見極めるのが医師の役割だと考えています。抗菌薬には蕁麻疹、下痢などの軽度の副作用から命に関わるような重篤な副作用まで引き起こすことがありますので、必要時以外に服用すべきではありません。厚生労働省から医師向けの「抗菌薬適正使用の手引き」を作成する方針が昨年12月に出されました。医療者側にも誤った使用をしている例があり研鑚が必要ということです。みなさまも決して安易に抗菌薬を求めず、また処方された際は「何のための抗菌薬であるのか」を確認していただくことが、子どもたちの未来を守ることに繋がると思います。